あまりに天気が良いから、思わずアイツに電話した。
「ね、今から出れる?」
どっか行こうよ。
ちょっと考えて、いいよ、と言ったアイツの声が、なんか好き。
「どこ行くか決めてんの?」
「あー、いや、全然」
「なにソレ誘っといて…」
そんな呆れた声出すなって。
「目的無いんなら外出たくない」
「なんでさ」
「暑いし準備しなきゃなんないし、めんど」
「そゆこと言うか」
「なにもー、どーすんの、どこ行くの」
…急かされたら余計考えがまとまんねー。
あーもー…イイじゃんよ別に、行き先とか。
髪をクシャクシャと掻いて。
「お前に会いたい」
「気持ち悪い」
…ひでぇ。
一番の目的だったのに。
情けなくなって、次の言葉に詰まっていたら
「…まーいいよ」
「へ」
「うちの前のコンビニで待ってるから早くおいで。
10分以上待たせたら殺す。マジでシメる」
「は、いやあの」
「じゃ、そゆことで」
ガチャン。
ツー…ツー…
え、何、どゆこと。
アイツんちまで何分かかるっけ。
チャリで飛ばして…あ?…やべ、殺される。
「あんにゃろう、勝手に話進めやがって」
ひとりでブツブツ悪態つきながら、わざと乱暴にチャリに跨った。
だけど顔は緩んでんだろうな。
うん、分かってる。
* * * * * * * *
雄也たちがまだ高校生の頃のお話。
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