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創作小話。同性愛的表現含。
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「ちとせくん」、そう馴々しく呼ばれるのが昔から大嫌いだった。
小さい頃は特別親しい友人なんてものもいなかったし、
ケンカばっかしてたから、どっちかっつーと嫌われ者?
だから呼ばれるときは大抵「黒崎」だったけど。
たまにいたんだよね、変に親しげに「ちとせくん」なんて呼ぶ奴。

俺、あーいうのホント大ッ嫌いだった。
お前なんか全然親しくねーよ、気安く呼ぶな、みたいに。
いや、昔だけじゃなくて、今も嫌いだ。


でも雄也は違う。
もちろん特別な関係であるから、名前を呼ばれて不快に思うことは無いけど。
アイツも、最初は「黒崎くん」だったんだ。
礼儀をわきまえた奴、そんな印象を受けたのを覚えてる。

高校で再会して、大学も一緒になって、
「黒崎先輩」と呼ばれることが辛くなったのは、いつ頃からだっけ。
不快じゃなくて、辛くて切なかった。
距離を感じる呼び方だ、そう思った。
“下の名前で呼んで”
願うようになったのは、いつ頃からだっけ。



ぼんやり考えながら、少し乱れたベッドで寝返りを打つ。
こんなこと、考えたこと無かったのにな。
今何時だろ。
サイドテーブルの時計に目をやる。
……雄也が買い物に出かけて、1時間弱。
一緒に行くかと誘われたけど、眠くて遠慮した。
そろそろ、帰ってくるかなぁ。

アイツ、帰ってきたらきっと「ちとせー」って言う。
そんで俺を見て、まだ寝てたの?とか言って、
俺はアイツの首に腕を回して、アイツは少し屈んでキスをする。
俺の髪を乱しながら、耳元で低く囁くんだ。
「ちとせ」って。

もっと。もっと呼んで。
俺の名前、もっと呼んで、お前だけが。

シーツを掴んで身体を丸めた。
早く帰って来て。名前呼んで。


玄関のドアが開く音がした。
空気の振動が、アイツの香りと声を伝える。

「ちとせー、ただいまー。もう起きてる?」
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初めに
おおさわ潤が創作する、BL含む日常小話。 友情物語もあり。 過激な性的表現・年齢制限を含む作品は無し。 自己範囲でお楽しみ下さい。
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