あっそれとも、おやつじゃなくて、
たつきの部屋で遊びまくって散らかしたまま、
ベッドで爆睡して片付けをたつきに任せたこと…
それ怒ってるのかなぁ…いや、それとも…
いろいろ心当たり多くて分かんないよー!
「たつきぃ、ごめんね、ごめんなさい」
「…あゆみくん」
「原因は分かるようで分かんないんだけど」
「コラ」
「ホントにごめんね、あ、これあげる!」
たつきの家に来る途中、近くの海岸で拾い集めた宝物。
ポケットから次々出て来る。
「形良くて色キレイなの…えっと、これとこれと…」
「…あゆみくんねぇ」
俺の“だいすきなもの箱”に入れようと思ってたけど、
たつきにあげるよ。キレイだからあげる。
だから怒んないで、ごめんねたつき。
「あ、まだあるよ、おっきいのも…」
「あゆみくんっ」
「へ」
ありゃ、俺気付いたら半泣き。
…こーやってすぐ泣く癖、直したいな。
すぐモノをあげて、許してもらおうとする癖も。
「もーいいよ」
「…えー?」
「俺もガキみたいに怒ってごめんな、理由も言わないで」
「…たつき悪くないもん」
「はは。あゆみくん泣かせちゃったし、悪いよ」
いつもの優しい声と頭を撫でる手が嬉しい。
ごめんねたつき、絶交なんてしないでね。
俺の大事な親友だもん。そばにいてよ。
「これ、キレイだな。いつの間にこんなに拾ったんだか」
「ぜーんぶ、あげるよ!」
「でも、あゆみくんの、あの箱に入れるんじゃ」
「んーんっ、たつきにプレゼント」
「…サンキュ!飾っとくな」
トゲトゲしてる硬い巻き貝。
触れると少し痛いけど、
耳元に当てると波の音。
聞こえるかな、穏やかな海の声。
届くかな、俺の気持ち。
寄せては引いて、“だいすき”が
俺はそこへ足を浸して、君に伝えたいな。
「ね、結局なんで怒ってたの」
「…俺のおやつ食ったデショ」
「え、ホントにそれだったの!?」
「今となっちゃぁ下らんかったな」
「あんなに泣いた俺は何ー?」
「でも俺の菓子食ったのは、あゆみくんだからね」
不器用で上手く相手に伝わらないね。
下らないことも、自分の気持ちも。
零れ落ちてるカケラを手の平に集めて、
お互いの頭上にかざそう、まき散らそう。
こんなにキレイなカケラだ、浴びたら仲直り出来るよ。
「たつき、キレイなのあげるよ!」

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