「たつきー、昨日ごめんな、夜遅くに電話して」
「あ、いいよ全然、気にしないで」
「話聞いてもらってスッキリしたからさ、サンキュ!」
「いえいえ、お役に立てて良かったです」
たつきが俺の知らない奴と話してるの見ると腹立つ。
夜遅く?電話?
人の迷惑考えなよっつーか、
たつきにそゆことしていーのは、俺だけなんだから!
でも
たつきの友達は俺だけじゃない。
そんなの分かってる。
たつきが優しいのは俺だけにじゃない。
そんなの、分かってる。
けどムカつく。
やるせない寂しさ。
「あ、あゆみくん、今日の放課後さ…」
「っ…俺は、たつきがいちばん好きなんだもん!」
「えっ、ちょ、なに?」
たつきに友達がいっぱいいて、いつも笑って、
そうして楽しく過ごしてくれるなら俺も幸せ。
だけど、やっぱり俺はまだまだ子供で、
たつきのそばにいるのは俺だけでいい、
俺だけがたつきを理解っていたい、
そんな気持ちも正直、あるんだ。
親友ってなに?
いちばんって、なに?
「あゆみくん!ちょっと待ちなさい!」
なんだよ!追っかけてくんなよ!
俺今泣いてんだよ!
泣き顔なんか見られたくない!
いや、今まで何度も見られたけど!
ってか足速すぎだよたつき!
あっという間に追いつかれて、腕を引っ張られて、
両肩を掴まれて目の前には少し怒ったたつきの顔。
「…あゆみくん、聞いて」
乱れた呼吸を整えて、腰を屈めて俺と同じ高さの視線。
「いちばんとか、そんなのどうでもいいよ」
たつきは、俺の足りない言葉や態度だけでも、
気持ちを全部察してくれる。包んでくれる。
「どうでもよくなるくらい、俺はあゆみくんが大好きだよ」
「…ほんとに?」
「嘘ついてどうすんの」
「でもね、俺、なんか嫌だよ、なんか…あの、ヤキモチみたいな」
ガキだなぁホント。
俺って、全然余裕ないなぁ。
「うーん…俺も前はあったよ、そういう気持ち。
でもさ、あゆみくんのこれからを考えたら、
いろんな人と関わって仲良くして欲しいと思うし、
その方があゆみくんのためにも良いかなって」
「…俺にはたつきだけで良い」
「そう言わないの」
だって、だって、たつきは俺のおっきな支え。
「あゆみくん、他に親しい友達が出来たら、
俺のこと忘れそう?どうでもよくなりそう?」
「っ…ならないよ!!」
「俺も一緒。あゆみくんは変わらず、大事な人だよ」
「…ん」
「たくさんの人間関係を作って。楽しんで。
辛いこともあると思うよ、だけどそのときは、
いつでも俺のとこおいでよ。そのために俺はいるよ。
だから、俺も疲れたら…あゆみくんに頼って良いかな?」
当たり前だよ。当然だよ。
支え合うって、こういうことなんだね。
お互いの世界を大事にして、寄り添うんだね。
独占とか依存とか、そんなんじゃなく。
これから先、お互いに好きな人や彼女が出来ても、
きっと俺たちは愚痴をこぼしたり、
励まし合ったり、そうやって笑っていられる。
いちばんも親友も、そんな肩書きいらない。
俺はたつきが大好き。
ただ、それだけで良い。
「とりあえずあゆみくん、鼻水拭こうか」
「んー」
PR