選り好み

「なーに読んでんのっ」

その声と同時に、俺の手から本が取られた。
見上げると、見慣れた顔。
…ホントは逆光で眩しくて、顔なんか見えなかったけど。
声と空気で、コイツだ、って瞬時に分かった。
反射的に口元が緩みそうになったけど、
そんな表情見られたくないから必死に抑える。

今日だけ

部屋に戻ってみると、電気が点いていない。
誰もいないってわけじゃ、ないよな。

支配者

俺ってば、どうかしてると思う。

「…なにこれ」
「手錠」
「いや見りゃわかるけどさ」

眼でコロス

「お前の眼、好き」

コイツがいきなり顔を近付けて言うから、思わず身を引いた。

モーニングコーヒー

あー…ピピピピーて目覚ましがうるせ。
こーいう機械音で起きるのって、身体に悪い気もしてくる。
無意識にストレス溜まってるって、ぜったい。
しかし今朝の睡魔は強敵だ。
けたたましい音が、だんだん遠ざかって…。

「やかましいっつの、早く起きて止めろ」