それは手錠と呼ぶには、ちゃち過ぎるただの玩具かも知れない。
一応付属品として鍵なんか付いちゃってるけど、
それを鍵穴に差し込まなくたって簡単に自分の意思で外せる。
お前を捕まえておくには、とても不十分。
所詮は玩具か。
「買ったの?」
「安かったから」
だからって買うかよこんなもん…
そう言いたそうなお前の表情も好きで仕方ない。
「…俺のもんになればいーのに」
呟き、コイツの細っこい片方の手首を捕えてカチャリ。
金属に擦れて、きっと赤くなるだろうな。痛いよな。
まぁ当然だけど、そんな煩わしい独占欲はすぐ外された。
「バカか、こんな安モン」
「ん、悪ぃ」
笑ってみせるけど、なんでだろ、結構マジに切ないかも。
カチャカチャと、お前が俺の欲望をもてあそびながら言う。
「無くたって離れねっつの」
「…え」
放り投げられたそれは、派手な音を立ててゴミ箱へ入った。
「だってーお前、もう俺のじゃん?」
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