「こっちの色のが良いと思う」
「それやだ」
カーテン替えたいから一緒に選んでくれって
お前が言ったから、こうやって店に来てんのに。
日曜の朝っぱらから!
なのに、さっきからアレやだコレやだばっか。
「じゃ自分で選べば」
「無理」
こんな奴に律儀に付き合ってる俺も俺。
溜め息つきながら、次々とコイツの部屋に合いそうな
色と柄の布を探してる。
「あれ、そいや無地と柄物どっちがいいの」
「んー…どっちでも」
「お前には自分の意思とか無いわけ」
「若干ありマス」
「その若干を今発揮してもらえませんかね」
「まだー」
まだって何。
毛頭買う気も無いだろうに、明るいピンク色の布を
さらさらと触りながら辺りを見回している。
「カーテンてたくさんあんだね」
「だなー。俺も替えよっかな」
「マジで?いんじゃない、どれにすんの」
ちょっとだけコイツの目が輝いた気がする。
「さっき良いなって思ったやつあんだけど、
えーっと…あ、あの青いの。右端にかかってる」
「え、あれ?無地じゃん、つまんねー」
「お前がつまんなくても良いし。俺あれにするわ」
注文サイズを選ぼうと、商品の方へ歩いていく。
サイズ表を見ていると、後ろから声。
「俺もそれにする」
「へ?お前今つまんねーって」
「言ったかもしんないけど、それにする」
「…はは、お揃いだー」
「うっさい」
からかうつもりで言ったのに、口にすると
こっちが照れくさくなってくるもんだな。
今度、コイツの部屋遊びに行こ。
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