盆も終わる、残暑厳しい今日この頃。
ジャガーさんは暑さに参り、仰向けに寝ている。
そして俺も、大の字で天井を眺めている。
テレビではニュースが流れていた。
「見てないなら消すよ」
その声の次に、プツンと音がして静かになった。
雄也がリモコンをテーブルに置き、ソファに腰かける。
植物との暮らし、なんて本を開いてる。
「…ねぇ雄也」
「んー?」
「俺死んだらどうする」
なんとなく訊いたことが、思った以上に深い意味を持って、
俺自身に響いてきたのに少し驚いた。
雄也は一瞬、わけが分からないみたいな顔をしたけど、
すぐに本に目を戻し、優しい声で言った。
「待ってる」
チリン、温い風が部屋に流れ込む。
陽が傾き始めている。
「毎年この時期に、ちとせが帰って来るの待ってる」
後を追うとか、馬鹿なことを言うなとか、
そんなようなことを言われるよりも安堵した。
「…そう」
その言葉が俺以外に囁かれる日が来る前に死にたい。
この感情を忘れてしまう前に死んでしまいたい。
それが穏やかで切なくて、途方もなく幸福なことに思えた。
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