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創作小話。同性愛的表現含。
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そういう性分だから仕方ない、なんて言われたら寂しい。
俺だって、たかが1コだけど年上って意識は持ってるし。
ていうかそれ以前に恋人っていう立場だし、やっぱ頼って欲しいときもあるんだよ。

「どうしたの」

微妙な変化に気付いてそう訊ねてみても、
アイツの答えはいつも決まってる。

「なんでもないよ」

俺の洞察力なめんじゃねーよって言いたくなる。
一度キレたことがあったと思う。
だけどアイツは尚辛そうに笑っただけだった。

「なんで気付くの、でもホント大丈夫だから」



心配したってキレてみたって、話してくれない。
ほとんど絶望的な気持ちになったのを覚えてる。
その夜も同じベッドに入って、でもアイツはどこを見てるのか分からなくて。
俺の手も声も眼も、なにもかも届いてなかった。
あの時俺が泣いたのは孤独だったからだなんて、知らないだろうな。

それでもアイツは、悩むけど何とか物事を乗り越えてく奴だから、
ちょっとすればいつもの調子に戻ってる。
長引くことは無い。
無いけど。

ひとりで頑張れるのにも、当然いつか限界がくる。
アイツが独りでいようとしたら、俺も同じように独りになっちゃうのに。

その両腕は俺を抱くためにあるんだよ。
なのに悩み事ばっか抱え込んでたら、俺はどこで安心して眠れば良いの。


何も話してもらえないまま、崩れていくなんて嫌だよ、雄也。
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「あ、悪ぃ俺もう帰んないと」

「え!?まだ9時半だぞ」

「うーん、ごめんな!」

「なんだよ飯島、ウチで奥さんでも待ってんのか!」

「バカお前、彼女だろまだ」

「飯島くん、犬飼ってんじゃなかったっけ」

「あーそっか、そりゃ寂しがるよな」

「ホント悪い、そういうわけだから」

「おぅ、気ぃつけてなー」

まぁ実際、恋人も犬も待ってんだけどさ。
受信メール
8/26 18:06
From:雄也
Sub:(non title)
本文:飲み会で帰り遅くなる。先に寝てて


送信メール
8/26 18:10
To:雄也
Sub:Re:
本文:分かった。じゃあ俺も遊び行く。朝帰りかも知れないから先に寝てて


『ちょ、ちとせ!なんだよ朝帰りって!』

「・・・」

『・・・分ぁったから。10時までには帰るからウチに居てよ』

「うん。待ってる」


それでこそ俺の彼氏だよ。
「雄也はねー、将来ハゲる!」
風に揺れる風鈴が、チリンチリンと鳴く。
雄也の気に入りの雑貨屋で買ったものらしい。
安くて子供騙しな音色のそれは、俺の部屋に似合った。
初めに
おおさわ潤が創作する、BL含む日常小話。 友情物語もあり。 過激な性的表現・年齢制限を含む作品は無し。 自己範囲でお楽しみ下さい。
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