あー、失敗した。
いくら風邪ひいたからって、クリスマスイブまでレポートやってるなんて。
拗ねてるかな、あいつ。
しばらく構ってやれなかったんで自分の家に帰っちゃったし。
あー、本当に、手がかかる。
I Wish
絶対ぇ、あいつ今泣いてるし。
ジャガーさん抱きしめてさ。
嫌がってるっての、離せよ。離してやれよ。
ジャガーさんいじめたら、俺があいついじめてやる。
お前は自分の膝でも抱えて泣いてりゃ良いんだよ。
大体さ、どうして俺走ってるわけ？
あんな淋しがり屋で、意地っ張りで、ヘタレで、いじられ役で。
あんな……年下の、生意気な、奴のために。
走るの嫌いなんだよ、汗かくし。
こんな街中で走ってたら、格好悪いし。
あぁ、でも今夜中に会いに行ってやらなきゃ。
クリスマスの本番は明日だけど、きっと今日も大切だから。
「ちとせに会えればいつでも良いよ」
素でこんなこと言いそうなあいつが怖いけど。
なんとか、頑張って。
午前零時になって、25日になってしまう前に。
……別に、俺が会いたいんじゃないけどさ。
大体さ、一人で泣いてんじゃねぇよ。
外見ろよ、外。
お前以外は、皆幸せなんだよ。
へっへーん、ザマーミロ。
人の幸せ壊すような真似するんじゃねぇよ。
……じゃなくて。
クリスマスくらい、素直になろう。
いつもは俺様な俺だけど。
いや、今日も十分俺様だろうけど。
「俺さん」くらいにはなってやっても良い。
……もう意味分からん。
待ってろよ、あと少しだから。
そこの店でケーキ買って、
ジャガーさん用にご馳走も買って。
ワインなんかも、奮発したりして。
お前、俺のこと好きなんだろ？
いつもうるさいくらいに、言ってるじゃねぇか。
なら、信じろよ。
お前の好きな俺のこと、信じろよ。
……自分で言ってて、恥ずかしいけど。
信じて、待ってろ。
あと少しだから。
見慣れた門をくぐって、
見慣れた階段を駆け上って、
見慣れたドアを、合鍵で乱暴に開ける。
「雄也！」
メリークリスマス。
* * * * * * * * * * *
湊 凛華さまが、ちとせ雄也のお話を書いて下さいました！
春休みに一緒に遊んだとき、思いついたそうです。
本人は、あくまで「ちとせとジャガーさんの話だ」と仰っています（笑）
意地っ張りなちとせの優しさが出てて素敵な作品ですｖ
ありがとうございました！！
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