忍者ブログ


創作小話。同性愛的表現含。
89  88  86  67  10  2  9  1  6  4  3 
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

変わらないものなんてない。
自然も街も、物や人も。すべて。
そんなの、学校で習わなくたって分かってる。

「…大学院、どーしよっかなー」
「雄也、もう考えてんの?早いね」
「大学院行けたとして俺は何がしたいんだ!?」
「あ、煮詰まってますな」

これまでだって幾度となく経験してきた。

「来月は夏休みだなー、あゆみくん!」
「げそり」
「え、なになに、楽しみじゃないの?」
「受験が近付いてくるんだよ?
 手放しで喜んじゃらんないよ」
「うわぁ…あゆみくんも意識するようになったんだね」

ずっと変わらずそばにいたい。
この煩わしくも愛しい日々が続けばいい。
だけど無理なことは分かってる。
分かってるから、続けたいと願うんだ。

「…ちとせは?卒業したら、どうすんの」
「どうすんのかなぁ…就職かな」
「ふーん…」
「遠くに就職だったら、こうやって一緒に暮らすことも、
 なくなるんだろうな…たぶん」

俺たちはこの先、どうなっていくんだろう。

「あゆみくんは進路決めた?」
「いちおー。でも厳しいー」
「そっか。まぁまず卒業だな、キミは!」
「たつきー!またそーいうこと言う!」

互いに忙しくもなるだろう。
新しい生活が始まれば、また出会いもあるし
趣味だって増えることもあるかも知れない。
それはそれで喜ばしいことなんだ。

「…なんか、一緒が当たり前みたいに思ってたけど」
「離れ離れの生活、か…」
「そうなったら別れるのかな、俺ら」
「分かんない。でも俺は別れたくないよ、今は」
「…うん。俺も今は、そう思ってる」

だけど恐い。
積み重なる時間の中に、互いの存在が埋もれてしまうこと。
思い出すことが少なくなって、やがては見えなくなること。

「…卒業したら、バラバラだね」
「なに、突然」
「たつき、俺と連絡とる?」
「…あゆみくん」
「なかなか会えなくなっても、会ってくれる?」
「……会いたいよ」

まだこの手を繋いでいたい。

「ジャガーさんと離れんのは寂しいなー」
「俺とは!?」
「…ははは」
「なにその乾いた笑い」

こうして笑い合ったり、ときには喧嘩もしたい。

「あーまた泣いてる!まだ先のことじゃん!
 今は今だって!余計な心配の前に楽しも?」
「だづぎぃ〜〜〜〜」

「もしかしたら雄也のことだから、
 またウチに入り浸ったりしてねー」
「ありうる。そんときはヨロシク!」

今目の前にいる人に、会いたいと願ってしまうなんて。
PR
初めに
おおさわ潤が創作する、BL含む日常小話。 友情物語もあり。 過激な性的表現・年齢制限を含む作品は無し。 自己範囲でお楽しみ下さい。
最新記事
バーコード
カウンター
Edit by : Tobio忍者ブログ│[PR]