その広い背中も、短い髪も、骨張った綺麗な手も愛おしい。
瞼にキスを落とすと、微かに睫毛が震えた。
居てくれて良かった。
こんな風に雨が降る朝に、ひとりで目覚めるのは、
より一層、肌寒さを感じるから嫌いだ。
だけど雄也が居てくれたら、その鎖骨の辺りに顔を埋めて、
控え目に香る香水を吸い込むことが出来る。
くすぐったさに目を覚ました雄也の腕が、
俺の身体を抱き寄せる。ゆっくり、力強く。
あったかい。
この瞬間が好きだ。
じんわりと、雄也の手の平から広がる熱。
それが頬や唇にまで伝わると、俺は深く長く息を吐く。
雨の降る朝は寂しくて泣きそうになるから嫌い。
だけど雄也の体温があるなら、溜め息だって
幸福感からくるものに成り得るんだ。
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