「たーつーきっ!」
「あ、あゆみくん」
「もう帰るのー?」
「うん、用事もないし」
「も少し待っててよ、俺委員会終わったらすぐ行くから!」
「うん、分かった。玄関で待ってる」
一緒に帰ろうね。
ひとりで帰るのには慣れてたけど、
どうしてかな、なんとなく。
たつきと一緒に帰りたくなった。
姿を見掛けて、よっ、て軽く挨拶して、
それじゃあバイバイ…なんて出来ない。
服の裾を掴んで、「待ってて」と言いたい。
ただ一緒に並んで帰るだけ。
ただそれだけなのにね。
手を繋いだりはしない。
…まぁ、ときどき気分で繋ぐけど、変な気持ちじゃない。
安心するんだ、おっきな手に包まれてるとさ。
帰る方向が一緒なわけでもない。
俺がちょっと遠回りする程度なら、そんなの気にしない。
隣にいる時間、それが一番俺には大事。
愛してるから。大切だから。
好きで好きで好きで、壊れそうなほどの友情。
一部の友達からはホモとかゲイとか言われた。
でも俺はそんな感情も性癖もまったく無い。
女の子を好きにもなる。
ただ今は、たつきの存在が大き過ぎるんだ。
それ以外が霞むんだ。
そして、そんな俺の気持ちを、たつきはやんわり受け止める。
気持ち悪がらずに今日も隣にいて、
ニコニコと俺の言葉に答える。
「たつき」
「ん?」
「愛してるよ!」
「うん…俺も!」
「くふふっ」
「なに」
「嬉しいの!」
同じ価値観を持った人がいて、大好きで、
僕らの世界が形成されてゆく。
嬉しくて、つい笑ってしまう。
あくまでLIKE。
でも限り無くLOVEに近い、そう、ダイスキ。
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