あれっ誰?親戚の子…?
それともなに、まさかちとせと俺の愛の結晶…
「初めまして、凛華です。これからご厄介になります」
ソファもあるのに、カーペットの上に直に座り、丁寧な挨拶をしてくれた利発そうな、この少女。
あれれ、俺の能力じゃこの状況判断はキツいよ?
ご厄介に?この子が、え、この部屋で?
「おかえり雄也、この子、俺が産んだんじゃないから」
あ、俺の思考回路はお見通しですか。
て、それより。
「あの…じゃあこの子は…」
「俺の従姉妹。今度この辺に越してくんだけど、
学校の手続きの関係で早めに来たから、ひとまず俺んとこ」
なるほど。ちとせの従姉妹さんかぁー…、なんとなく雰囲気似てるかも?
「何才なの?」
「17です」
「しっかりしてんだね、ひとりで来られるなんて」
「そう遠距離の引っ越しじゃないですから、大丈夫です」
大人びている……そしてなぜか俺、あんまり印象良くない?
初対面だから仕方ないのかな、でもなんとなく…先が不安だ。
真面目そうなイメージからして、ふんわりした髪の栗色は生まれつきだろう。
くっきりした二重の目は真っ直ぐ相手を見つめるから、戸惑う。
人見知り、するタイプじゃないかなぁ。
俺が今まで出会ってきた人たちを思い出しながら想定する。
「雄也、帰ってきてばっかで悪いけど、ジャガーさんのご飯買って来てくんない?」
「えー!!なんでさっき出る前言わないのさ!!」
「気付いたの今なんだよ…」
はぁー…と溜め息をつく俺の横で、少女が立ち上がってハキハキと言った。
「大丈夫です、ジャガーさんのご飯、私作りますから。
材料、少しはありますよね」
わっ、更に俺より出来る発言!!
う…なんか俺、情けなくなってない?
「ホント?悪い、さんきゅな。じゃあ頼むよ」
ちとせもやたら信頼してるし。
そりゃ…従姉妹だし?親戚ってわけだし?
年齢から言えば兄妹みたいなもんでもあるわけだし?
それでも、それでもなんとなく…
これからの俺の地位が危うくなる予感がした。
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