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創作小話。同性愛的表現含。
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朝、いつも通り狭いベッドで目が覚める。
横には、細くて白い肩が静かに上下していた。
昨日は、ほとんどスキンシップとってない。
だって、凛華さんが寝てる部屋は、廊下挟んで向こう側。
こっちの音とか、聞こえちゃわないかとか、
いろいろ……気ぃ遣うんスよね。
それは別に、まったく構わないんスよね…。

それはそうと。
よし、今日から積極的に凛華さんとコミュニケーションとるって決めたんだ。
ちょうど日曜だし、(緊張のせいか)早起きしちゃったし…
朝ご飯、だな、まず最初のステージは。
昨日の晩ご飯は結局、凛華さんにお任せしてしまったし…今日こそ!



「おはようございます、雄也さん」



意気込む俺の背後から唐突に凛華さんの声。



「あっお、おはよ!」



必要以上に驚いて、変に声が高くなった。
なんじゃこりゃー…かっこわるいぞー…。
ん?よく見ると凛華さんの腕にはジャガーさん。



「あれ、ジャガーさん…」
「あ、この子、布団に潜り込んでたんで一緒に寝ました」



なるほど、もう凛華さんには懐いたってわけか。
…先を越された感じだな。



「ちとせさんは、まだお休みですか」
「んー、休みの日はわりとお寝坊さん」
「ベッド狭いんじゃ…熟睡出来てないのかもですね」



あぁーイキナリそこ論点に持って来るかぁ。
なんて答えたらいいか分かんないよー。
話題変えよ、さっさと。



「そだ、ご飯、朝なに食べたい?」
「朝ご飯?」
「うん、俺作るからさ」
「そうですね…軽くトーストな気分なんですけど」
「トー…スト…」



俺頑張る意味、大して無いよねソレ。
わざとかな、いや、ホントにトースト食べたいのかな。



「あーっ、じゃあピザトーストしよっか!」
「ピザ?チーズとか乗った?」
「そう、トマトとかも乗せて焼いてさ」
「トマト!!」



え、トマトに過剰に反応?もしかして…



「トマト、嫌い?」



ぶんぶんと横に首を振る。
と、いうことは。



「好きなんだ?」
「大好きっ、デス」



おぉっ、良いじゃん、やったじゃん!
抱き抱えたジャガーさんに顔をうずめ、耳を微かに赤くして、
どうやらこのアイディアには喜んでもらえたようだ。



「…あの」



顔を少し上げ、遠慮がちに話しかける。



「ん?」
「…手伝わせてもらっても…?」



願ってもないお言葉!一緒に料理、
もっと仲良くなれるチャンス。
俺は二つ返事で、早速凛華さんとキッチンに立った。





「まずさ、食パンでしょ…あ、耳食べれるよね」
「はい、いけますよー」
「あと、とろけるチーズとピーマンと…」
「トマト!!」
「はい、欠かせませン」



なんか昨日よりイイ感じ?
かなり慣れてきてくれた気がすんだけど。



「パンにトマトソース塗って…あ、チーズは細く刻んどく」
「はい、……このくらいですかね」
「うん、いいよ、それパンに乗っけて」



凛華さんがスムーズにやってくれて順調だけど、
交わしてる会話は、トーストに関してばかり。
これじゃ俺より、トマトに興味ありげ。
なにか別の…もう少し別の話題…。
そう考えて出た言葉は。



「あのー…敬語じゃなくていーよ?」
「はい?」



突然なんなんだ俺は。
知り合って間もないのに、こんなこと。
初対面でも「タメ口で良いよぉ〜」って言う奴いるけど、
そういうのは凛華さん、あまり好きじゃなさそうだ…。
困惑した彼女の顔…俺、失敗かも。
だって、17歳なんて年頃の女の子と普段接しないし!



「あ、俺に対してってこと…」



そんなもん分かるっつーの。



「敬語、あの、疲れんじゃん?そんな、いつも」
「いえ、雄也さんは年上ですし、やっぱり言葉は…」



気にしますよね。そんな子だと思ってたよ。
でも、ずっと敬語じゃさ、距離が…ある気がして。



「でもホント、いいよ気にしないで楽に話してくれて」



もしかしたら敬語のほうが楽なのかも、この子は。
うーん、ムズカシイ。
おぼつかない手つきでピーマンの種を取る俺、
それを見つめながらしばし考えていた様子の凛華さんが、
少しためらいがちに口を開いた。



「…じゃあ、いい…んだよ…ね?」



やった!親密度上がったかも!



「いーよ、もちろん!これから2ヶ月一緒だしさ!」
「そう、だね。一緒だし。えっと…よろしくお願いしま…ぁ、よろしく」



照れながら言葉を紡いでく凛華さん。
あ、俺今、素直に嬉しい。
ある程度の壁が取り払われたのが、すっげ嬉しい。





「おはよー、ご飯なにー」



やっと起きてきた、お寝坊王子様。
俺と凛華さんは既に、食卓に向かい合わせにスタンバイ。
ジャガーさんは…フライング。
ちとせが欠伸をしながら凛華さんの隣の席に着いて…って、ちょっと髪が跳ねてる。
まぁ何度も見てるけど、寝癖可愛いー。



「あ、ピザトーストー、これ美味いー」



寝ぼけた調子で目をこする。



「なにー、二人で作ったのー?」
「はい、雄也さんにいろいろ教えてもらいながら」
「そんな難しくなかったしょ?」
「うん、意外に簡単。もうひとりで作れるよ」
「ふーん、いただきまーす」



ぼやっとトーストを口に運ぶちとせは、凛華さんの口調の変化に気付いてないのかな。
そんなちとせに、凛華さんが「失礼します」と声をかけ、
跳ねたままだった寝癖を手で撫でて直してあげた。



「ぅあ、さんきゅー」





ほのぼのとした、日曜の朝。
昨日までの不安は、一気に飛んでった。
この調子なら、楽しく生活出来そうだ。
まずは、第一ステップクリアってとこかな。



トマトたっぷりトーストとコーヒーの香り。
2ヶ月後、凛華さんがいなくなったあとも、
俺は多分、この香りで今日を思い出すんだろうな。
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初めに
おおさわ潤が創作する、BL含む日常小話。 友情物語もあり。 過激な性的表現・年齢制限を含む作品は無し。 自己範囲でお楽しみ下さい。
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