慎‐? サディスト発動‐

何コイツ、最悪。



「…ッ」
「苦しい？」



今俺を見下ろす眼は、冷たくはない。
ただ、楽しそうなんだ。

ボケかましたね

昨晩の電話について。



「結衣姉ちゃんが６月に奈緒姉ちゃんの子供生まれるっつってたけど、
　あれなんか間違ってるわ」

「ん？何が」

「いや、だって今２ヶ月ちょいじゃん？
　子供生まれんのなんて10ヶ月くらいだから、
　そしたら予定としては９月頃だと思うんだよね」

「…あ、うん、そだね」

「結衣姉ちゃん、絶対ボケかましたね」

「まぁ……相変わらずだな、結衣さん。
　早く生まれてきて欲しいんだよ」

「奈緒姉ちゃんよりはしゃいじゃってんだから。
　昔っから自分のことじゃなくても喜ぶし…」

「優しい人じゃん、良い姉さんだよ」

「まぁねぇ、ボケさえ無けりゃね」

黒く染まる

「自分に自信ない人って、黒選ぶんだって」

その言葉をきいても、フシギと頭に来なかった。
明らかな挑発なのに、そうかもなぁ、と納得してしまう。

オジサンって呼ばれたくないよ

姉ちゃんと電話。



「ちとせ元気？ちょっと久しぶりだね」

「元気だよ、結衣姉ちゃんこそ元気？」

「うん、仕事も何とかやってるよ」

「彼氏とも安泰？」

「当たり前でしょ、準備さえ整ったらすぐにでも結婚したいくらい」

「ふぅん、良かったじゃん」

「ちとせも雄也くんと仲良くしてんの？」

「………」

「大丈夫みたいだね、安心だ。
　お正月くらい一緒に帰って来れば良かったのに」

「ごめん、ちょっと暇無くて。
　近いうち顔見せようとは思ってんだけど」

「そっかぁ、身体壊さないようにね。
　あ、そういえば奈緒ちゃんが赤ちゃん出来たって」

「………はい？」

「今２ヶ月ちょいだからー、６月くらいかな？生まれんの」

「マジ？聞いてないし、そんな話」

「奈緒ちゃん自身もついこないだ病院行って知ったんだって。
　ビックリだけど楽しみだねぇ、女の子だったら良いな」

「へぇー…おめでとう、なんだよね一応。
　でも俺、まだオジサンって呼ばれたくないよ」

「あーやっぱソコ心配する？
　あたしもオバサンって呼ばせないもん、お姉ちゃんだもん」

「それはちょっと厳しいかもねー。
　まぁ、近々奈緒姉ちゃんにも連絡するよ。
　ごめん、これから友達と会う予定で…」

「雄也くんでしょ、“友達”なんて何遠慮してんのー。
　そっか、デート楽しんでね！」

「…デッ…」

「ほらほら雄也くんが待ってるヨ！
　じゃ、また電話するー、元気に頑張んなね！」

「はいはい、またね！……おせっかいオバサン」

「ちとせ、悪口は電話切ってから！」



結衣、初登場から爆弾発言多し。
ちとせ叔父ちゃん……あぁ似合わない。

プラネタリウム

「ちとせー、プラネタリウム行かない？」
「ぷらねたりうむぅ？」
「科学館に新しく出来たんだって」

あぁ、と小さく呟いて刹那、目線が逡巡する。