「んー、行かない」
「なんで」
「宇宙って、なんか広過ぎるしわけ分かんないからヤダ」
唇を尖らせてそっぽを向いた横顔は、
まるで拗ねた子供のように幼く見える。
それは普段、読書をしているときのどこか眠たそうな顔とも、
ギターを弾くときの心地良さそうな顔とも違う。
「恐い、とか?」
「…悪い?」
悔しさからか、ほんの少し頬を上気させて睨み付ける。
その頬の紅さも鋭い目付きも、夜に俺の下から見せるのとは別物。
あっちの方が断然、潤いがあるしゾクゾクする。
「悪いなんて言ってないよ」
苦笑して隣りに座ると、不思議そうに眉根を寄せて尋ねてきた。
「なんで皆さ、あんなもん見たいんかな、雄也は楽しい?」
「えー、なんでだろーね。俺も別に楽しくはないけど」
「だよねー、分っかんねー」
「他にもっと楽しいの知ってるし、俺」
プラネタリウムよりも楽しいもの、俺は知ってるよ。
「えっ何?あ、園芸?」
「違うよ」
ほら、また。
今度は宝物を見つけようとする探検者の瞳。
作り物じゃない、手の届かない遠い存在でもない。
太陽より眩しくて、月より様々な顔を見せる、
そんな君の引力を誰よりも俺は感じてるから。
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