俺はベッドの中に入ったまま、雄也が動き回るのを見ていた。
「イチゴ食う?」
「あとで。薬飲んじゃったし」
「ん。あ、コレ洗濯する?」
一昨日から寝込んでるから、かいがいしく手伝ってくれる
雄也がとても有り難く感じる。
(男の一人暮らし同士か…変な光景っ)
んなこと考えてたら、雄也の手が額を覆った。
「ちとせ、熱は…」
「触んなっ!」
やっべ…思っきし手ぇ振り払っちゃった
「ごめ…」
あ、すっげ傷ついた顔してる、どうしよ
違う、違ぇよそうじゃなくてあーもー
どーしてこんなときばっか鈍いんかなお前は
こんなときまで、素直じゃないんかな俺は。
「…熱、上がるか、ら……ぁの、触られっと、……お前、に」
何これ何これ意味不明文脈理解不可能
俺ホントに文学部!?
伝わんねぇよ、これじゃ、全然わけ分かんね…
「そか、ん、了解した」
えー嘘、今ので理解できたってか
嘘だ、コイツぜってぇ無理して笑って…
…………
…………
もーやだ、コイツの顔
大ッ嫌い………………大好き。
上体を起こして、腕を伸ばして、その俺好みな笑顔の
両頬をびよーんて伸ばしてやった。
「はいブサイクー」
「…ひほへ(ちとせ)」
「あっヤベ頭痛い!寝る!」
身体が火照って息苦しい。
自分から熱上げるなんて、何バカやってんだか。
でも、うん、次に目が覚めたらきっと、
ひんやりイチゴが目の前にあるもんね。
今は冷えピタで辛抱してやろう。
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