相変わらずジャガーさんと遊ぶちとせに話しかける。
「あのね、ちとせ。ジャガーさん俺の犬なの」
「?…だから?」
それは分かってる、って目でこっちを見る。
「ちとせはちとせで、ペット飼わね?」
「え?いーよ俺は別に犬とか世話大変そう」
「じゃ俺は?」
「は?」
「俺ペットにしてみてよ」
「なにをイキナリ…」
鎖で繋ぐ必要も無いよ。
「世話しなくていいし」
「うん?」
「いつも傍にいるし」
「うん?」
「ジャガーさんより優秀な犬になるよ」
良いペットになるよ。
言うことちゃんと聞くよ。
「…どしたの雄也」
「ちとせが寂しいときは傍にいるよ」
「寂しくなんか…」
「邪魔にはならない程度でね」
「…雄也、あのね、大丈夫だよ」
ジャガーさんを膝から下ろし、俺の頭を抱えて髪を撫でる。
「………」
「雄也は邪魔なんかじゃないし、いつも傍にいてくれるし、
俺寂しくなんかないよ?」
「………」
「雄也いたら寂しくない」
「……そっか」
「だから、わざわざペットいらないの」
ちとせの首筋に顔をうずめて、華奢な背中を抱き締めた。
ちとせの腕は変わらず俺の頭を抱き抱えたまま。
ちょっと俺、今日は飲み過ぎたみたいだ。
フラフラして、寂しくなって、疎外感を感じて。
ペットになれば、ちとせは俺に構いっ放しになるのかな、なんて。
あぁバカバカしい。頭冷やしてこなきゃ。
「そんな寂しがりでヤキモチ妬きで優秀な雄也くんにご褒美」
くい、と顎を指で上げられて唇を舐めるようなキス。
「ペットじゃないから、ここまですんだよ?」
ふ、と笑ってもう一回、今度は首筋に。
「ペットとならデートも出来なくなっちゃうな。
それでも良いの?」
「…や、デス。このままが良い」
このまま、ペットじゃなくて優秀でもなくて、
寂しいときは傍にいる恋人。
お互いに抱き合ってキスが出来る恋人。
「犬にヤキモチ妬いてどうすんの」
「…全くですよねぇ」
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