「寝てんの?」
「起きてるよ」
なんでこんなとこにいんだ?
そして眠たそうな顔で座ってんだ?
「階段…だよ?」
「そだよ」
ふぃー、と息を吐いて後ろに倒れ込む。
「わ、っとと、危ねぇよ!」
「そっから見える」
「へ?」
「空が見える。キレイ」
ちとせを抱えたまま顔を上げると、うん、確かに。
「いー天気だなぁ」
「この窓さ、でかいし、でも町並みは見えないの」
「だなー。空しか見えない」
その窓は階段の踊り場の、ちょっと上の方にあって。
射し込む光が気持ちいい。
「なんであんな高いとこに窓作ったんだろ」
「そりゃお前、日当たりの関係とかー」
「…空が見たかったんだ」
空が、見たかったんだ。
きっとそうなんだ。
ひたすら上り続ける階段の中で、何かを見つけるために。
途中で寝転び、見上げる空もキレイで、
上りきってから同じ高さから見る空も格別。
空が見たかったんだよ、きっと。
俺らは空と共に上って行きたいんだよ、きっと。
「…寝そう」
「このままぁー?」
「気持ちいいー」
「どーいてー」
「寝ようよ、雄也も」
「ぅ〜……ま、いっか」
守られてる?辿り着ける?
階段の踊り場、大きな窓から降る光。
疲れたらまた、ここで栄養補給すりゃいいさ。
PR