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創作小話。同性愛的表現含。
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「自分に自信ない人って、黒選ぶんだって」

その言葉をきいても、フシギと頭に来なかった。
明らかな挑発なのに、そうかもなぁ、と納得してしまう。

「つーか一種の防衛本能の表れ?黒って」

探るような目付きで笑いながら言う。
この笑い方、嫌いだ。
眼鏡の奥から不躾な視線を注ぐ男。
防衛本能云々はどうでもよくて、ただ俺は、
なんでこんな奴と雄也が幼馴染みなんだろう、と、
そっちの方が気になったし不愉快だった。

「じゃアンタは、」
「アンタ、じゃない。慎」
「……菅原はさ、黒嫌いなの?」
「嫌いじゃないよ、でも好きでもない」

そんな奴が俺の黒に介入して欲しくない。
俺は黒に特別な意味を感じてるんだから。

雄也が、似合う、って言ったから。

―ちとせは黒だね、何色にも染まらない。

『強さだよ』

そう言って笑ってくれたから。
多分俺は、アイツが傍にいてくれる限り髪の色は変えない。

「俺、黒好きだ」
「へぇ、じゃあ自分に自信が」
「関係ない、黒が好きだ」

俺の黒は、雄也の言うような“強さ”じゃないかも知れない。
確かに、俺は自分に自信がなくて黒を選ぶのかも知れない。
だけど。

無愛想な顔して、でも悲しみのときには、
他のどの色より人々にそっと寄り添ってくれる。
俺はお前の黒になりたいよ、雄也。

何色にも染まらない強い黒。
けど雄也、俺はお前に染められたんだ。
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初めに
おおさわ潤が創作する、BL含む日常小話。 友情物語もあり。 過激な性的表現・年齢制限を含む作品は無し。 自己範囲でお楽しみ下さい。
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