尋常じゃねぇ

『雄也…』

『ちとせ！ずぶ濡れじゃん！』

『雄也、俺…どうしても会いたくて…』

『傘もささないで…風邪ひくだろ』

『そんなの、どうでもいい！』

『え…』

『一秒でも早くお前の顔見たかったんだ！』

『ちとせ……。…中、入れよ』

『うん…ごめん、突然来て』

『なに言ってんだよ、ほら』

『！…雄也…』

『こんなに身体冷えて…』

『腕ん中…あったかい』

『今夜は一晩中、あっためてやるからな…』

『うん…愛してるよ、雄也』

『俺もだよ、ちとせ』




「…っていう夢見たさ☆」

「うーわー雄也キモーい消えてー☆」

「ひどくね！？」

「尋常じゃねぇなお前の頭ん中」

夏の空白

夏休みが疎ましく思えたのって、久々あるいは初めてかな。

ベッド

情事のあとの、心地よい気怠さ。
まどろんでいきそう…
このまま寝ちゃいたいな
でもシャワー浴びたいし…

空き缶

「ねー、あんた俺んこと嫌いでしょ」

だったら何。
いきなり人ん家押しかけて来て？
雄也いないっつったのに部屋に上がり込んで？
勝手に冷蔵庫開けてビール飲むお前を？

嫌わない理由がどこにあるってんだ。

本能

激しくなくて良い。
痛くなくて良い。

たとえば指先、鎖骨、薄く浮き出る血管、
愛する人の身体の隅々まで唇を這わせて、
髪を乱しながら耳元で囁くだけで良い。