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創作小話。同性愛的表現含。
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「夜明けがみたい」



唐突だった。
そう、ちとせは唐突に物事を決める癖がある。
この発言だってきっと、何も深く計画立てたりはしてないだろう。

「夜明け?」
「うん、みようよ、今日」



時刻は既に深夜3時過ぎ。
夜明けの時間まで起きてられないこともない。
が、少し眠いしこの時期の朝方は寒い。



「外出んの?」
「うん、部屋からじゃ見えねんだよ」



確かに、窓の外は近隣の建物で視界が遮られる。
恐らく、少し高台の公園まで出向きたいんだろう、
あそこは海が見えるから。



「寒いのやだなぁ…」
「あったかくしてきゃ平気だって」
「でもさ、もし途中でジャガーさん起きたら?」



不意に目覚めて誰もいない寒い部屋、どれだけ寂しいだろう。



「じゃあジャガーさんも一緒に連れてく」
「は?」
「あんまり冷え込むようなら、毛布の一枚でも持ってさ」



そこまでして夜が明けるのがみたいのか。
既にちとせは準備を始めている。
魔法瓶に入れる熱いコーヒー(俺飲めないのに)、
手袋、マフラー、ホッカイロなどの防寒具。
公園までは少々距離がある。
あと30分もしたら出発しなきゃなんないだろう。
…ひとりで行かせるのも、不安だし。







「そろそろ、行くか」
「家の鍵持った?」



結局、ジャガーさんも連れて行くのです。
厚手のコートを着て車のエンジンをかける。
助手席でジャガーさんを抱き、窓の外に視線をやるちとせ。
さっきまでのテンションとは打って変わって、
どこか哀愁を帯びた表情をしている。
俺は黙って、目的地へ車を走らせた。



着いたときにはもう、うっすら海面からピンクの光が顔を覗かせていた。



「ギリギリセーフ!」



ちとせが車から飛び出し、公園の柵に身を乗り出す。



「ちとせ、危ないって!落ち着けよ」



慌てて後ろに立ち、ちとせの背を支える。
完全に目を覚ましたジャガーさんも駆け寄ってくる。



「あと少しかな、キレイに見えると思う?」
「あーうん、晴れてるし、多分」



ふと、カメラも何も持って来てないちとせを怪訝に思う。



「写真、撮んないの」
「んー、別にいーよ」
「ホントみたかっただけ?」
「そだよ、それだけ」



なんだよソレ…半強制的に連れて来といて。
確かに、目的は“夜明けをみる”だったけどさ。



そんなちっぽけな不満は、すぐにかき消された。



「…雄也とね、みたかったの」



不意に耳元で囁かれて、思わず退いてちとせの顔を見る。
いたずらっぽく笑ったコイツが、やけに色っぽかった。



それはきっと、オレンジに変わってきた太陽の光のせい。
俺の火照った顔も、きっと夜明けの光のせい。
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初めに
おおさわ潤が創作する、BL含む日常小話。 友情物語もあり。 過激な性的表現・年齢制限を含む作品は無し。 自己範囲でお楽しみ下さい。
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