「俺、お前といんの落ち着くわ」
「ふぅん、そう」
「うん、精神安定剤みたい」
「薬ー?やだー物騒ー」
「そーいう薬じゃなくて」
茶化しちゃったけど、ありがと。
雄也のそんな存在になれたなら嬉しいよ。
でも。
「でも雄也は、俺の薬…じゃないな」
「えっ」
精神安定剤、なんて穏やかなもんかよ。
「毒だね、毒」
「うっそ俺そんな害!?」
「害じゃない、毒」
「なっ、なに、なにそれ」
お前のせいで俺はめちゃくちゃです。
呼吸は乱れるわ動悸は激しくなるわ熱は出るわ、
お前の顔見たくないと思うときがあっても、
いつの間にか抱かれて眠ってて。
好きで好きで好きで、狂いそう。
「朝、ダルいったら」
「え、論点そこ?」
「雄也くんは若いですからネ…」
害じゃない、でも毒に変わりはない。
お前のこと考えて、何度溜め息をついたことか。
今少し機嫌悪い?
まだ俺のこと好き?
やっぱりオンナノコの方が良い?
安定なんか出来ないよ、不安になって、
もう嫌だとか思っても離れるのもっと恐くて、
依存症。中毒症。悪い薬や煙草には付き物だろ。
つまりは毒、それ以外のなんだっていうんだ。
「離れらんないよ…」
「…ちとせ?」
いつか死ぬかな。
雄也の毒って、致死量とかあるかな。
俺がいつも飲んでるコーヒーにだってあるんだし。
それよりずっと甘くて優しくて傍にいて、
…うん、それはきっとタチが悪いに違いない。
雄也なしじゃ生きていけない、少なくとも今の俺は。
こんな女々しい自分になりたくなかったのに。
なのに、なんなんだ俺、情けない。
めいっぱい、お前のこと欲しがってる。
「…お前ホント、毒」
PR