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創作小話。同性愛的表現含。
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水を掴むような、感覚だ。
確かに触れたのに。握り締めたのに。
するりと抜けて行ってしまう。

「俺んこと好き?」
「さぁね」

髪を撫でてやれば頭を肩に乗せてくる。
だけどお前の口から「好き」とか聞いたことなくて。
いつもはぐらかされて、水を相手にしてるみたいだ。
掴めないし形は変えるし、でも必要不可欠。

「俺はお前超好きー」
「あぁそぉ」
「んー」
「くっつき過ぎ」
「…溺れそう、マジで」

溺れてしまえば、全身でお前に触れていられる。
息が出来なくなる程の苦しさもあるけど、
包まれている安心感にも成り得る。

腕を回して、頭を抱き寄せて。逃げないで。
俺ばっかりなんて、思いたくない。
もがけばもがく程、沈んでいく。お前の中に。
中心まで行けば、お前の本心も分かるかな。
素っ気ない言葉と態度の、裏っかわ。

「お前、水みたい」
「うん?」
「掴めない。俺んことどう思ってんのか分かんねぇわ」
「じゃあ飲んでみる?」
「の…」
「ホントに水みたいに冷たいかどうか、確かめてみれば」

掴めないからって、必ずしも冷たい水とは限らない。
実は沸騰してて火傷するかもよ?
イタズラっぽく笑って顔を近付けて来た。

火傷?それなら大歓迎。
痛みさえも飲み干して、お前の熱を全身で味わってやる。
だから、じゃあ、お前が俺の中に来いよ。
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初めに
おおさわ潤が創作する、BL含む日常小話。 友情物語もあり。 過激な性的表現・年齢制限を含む作品は無し。 自己範囲でお楽しみ下さい。
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