「疲れた」
「何に」
「なんか…選ぶことに?」
「なんだそれ」
人生って選択の連続じゃん。
むしろ人生=選択っても過言じゃない。
進路とか結婚とか、そんな大きなこと以外でも、
毎日着る服、アクセサリー、食べるもの。
選んで俺らは生きてるわけで。
「あれだわ、お前さ、なにかと拘りあんじゃん、
だから余計疲れんじゃね?」
「コダワリー?」
「そ、いちいち凝ってる。
それってなんか選ぶとき困るしょ」
言われてみれば、そうかも知れない。
絶対これが良い!って思うものが多過ぎる。
その条件に見合わないものは、なかなか受け入れ難い。
「も少しさ、単純に構えてみれば?」
「…シンプルにってこと?」
余計なものは抜きにして、好きは好き。嫌いは嫌い。
言葉も、いちいち選ばず気持ちのままに。
好き
大好き
愛してる
抱き締めたい
キスしたい
傍にいて
どれが良いかなんて決められない。
どれも本心。伝えたい相手は、全部お前。
気持ちがごちゃごちゃになって、溢れ出して。だから。
ただ黙ってお前の腕の中に潜り込む俺は、シンプル。
お前は俺の髪を撫でて、抱き締めて。
何も考えず、泣きたい程の温もりに浸る。
俺らの、いちばんシンプルな選択。
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