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創作小話。同性愛的表現含。
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俺はもともと、人に何か贈り物なんてしないタイプだし。
だってめんどくさいじゃん、いちいち考えんの。

(こっちの色のが…いや、でも形が悪い)

両手に商品を持ち、あれこれ入れ替えて比べてみる。
そうやってもう、どれくらい経ったろうか。

お前の好みは分かってるはずなんだ、十分に。
だけど不安になる。本当にコレでいいのかな。
だって心から喜んで欲しいし、気に入って欲しい。
お前がいつも必要として使ってくれたり、
肌身離さず持ち歩いてくれたりして、
そんな様子を俺も目にすることが出来て、嬉しくなって…。

普段、他人に対して全然望んだりしないこと。
こんなに悩んでしまうのは、めんどくさい。

やっと決定して、レジへ持って行く。
店員にプレゼント包装を頼み待っている間も、少し憂鬱。
包装くらい、自分でした方が良かったのかな、なんて。
なんとなく手持ち無沙汰で、想像してしまうのは、
プレゼントを手にしたときのお前の顔。
その眉にちょっとでも翳りが見えようものなら。

キレイに包装されたプレゼントを受け取り、店を出る。
やっぱ、やめよっかな、あげるの。
一瞬、そんな思いが頭を過ぎる。
でも、俺はこれ使わないし。持ってても仕方ないし。
えっと、どういうタイミングで渡せば良いんだろ。
いや、そんなこだわらなくても良いよな。普通に。
それはともかく、何て言えば良いんだ?
あげる、とか、受け取って、とか?
あー全然想像できない。いいや、普通で。
…普通って、なんだっけ。いつも通りって、どんなだっけ?

シミュレーションに行き詰まり、ふと我に返る。
……片想いの先輩にプレゼント渡す女子高生じゃあるまいし。
自嘲する余裕もなく、足元の小石を蹴る俺は、小学生みたいだ。

*     *     *

「はい、これ」

夕食後、ソファに座ってテレビを観ているお前に、
ほとんど投げるように渡したプレゼント。

「え、なに」
「やる」
「なに、突然」

困惑と嬉しさが入り交じった、お前の横顔。
だけど次第に、合点がいったように表情が透き通った。

「要らなかったら捨てて」
「捨てるわけねーじゃん、折角ちとせがくれたのに」
「…………」
「ホント嬉しい、マジで。ありがと。すっごい大事にすっから。
 お前から貰うモンは何だって嬉しいよ、ありがとな」

まだ開けてもいないのに。
なんだってそんな恥ずかしいことをサラリと言えるのか。
どう反応したら良いんだ、分かんない。
お前の言葉は予想出来た範囲なのに、不意打ちされた感じだ。
やべ、顔が赤くなる。口元が緩む。
だからヤなんだ、プレゼントなんて。
ほんとに、なんでこんな、めんどくさい………。
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初めに
おおさわ潤が創作する、BL含む日常小話。 友情物語もあり。 過激な性的表現・年齢制限を含む作品は無し。 自己範囲でお楽しみ下さい。
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