それが特別な優しさとは思わないけど。
ありがたいとか、そういうんじゃないけど。
お前のその真っ直ぐさは、好きで。
寂しくて、たまに邪魔で、でも尊い。
身勝手に振る舞う俺には無いものだから。
俺はお前のそんな気遣いの上に、あぐらを掻いていた。
何度も反省してたはずなのに、
どうしてこうなってしまうんだろう。
「……ぁ、の」
「………」
お願い、無視しないで。
いや分かってる、ちゃんと聞いてくれてる。
背中をこちらに向けて、嫌いだと以前言っていた番組が
かかっているテレビのチャンネルを変えることもしないで。
「……ごめん」
「………」
「…ホント…甘えてた……と思う、ごめん」
口にすると本格的に情けなくなってきて、俯いてたら
俺のより大きな手が頭の上に置かれた。
くしゃり、と少し乱暴に、限りなく柔らかく撫でられる。
「よかった」
「………」
「ちょっと怒ったらお前黙っちゃうんだもん、
もー俺と話もしたくなくなったんかと思った」
ちょっとじゃない。
すごく恐かった。
「嫌われたんじゃなくて、よかった」
お前のそういうところがさ、ムカつくしさ、
でも愛おしくて仕方ないんだよ。
泣いたりなんかしない。
そこまでカッコ悪いのは嫌だ。
ごめん。
離れて行かないで。
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