７ｃｍ

たかが７ｃｍ。
そうかも知れないけど、結構大きい差だと思うよ俺は。

「俺さ、もぉちょい身長欲しいんだよねー」

ふたりの理由

「なぁ、もっとそっち行って」

掛け布団が捲られ、ベッドが軋む。
目を開けると、ベッドの縁に片膝をかけて、
覗き込むように俺を見下ろしてるコイツがいた。

逆光さえも

お前は誤解されやすい奴かも知れないね。
照れ屋で、物言いがぶっきらぼうだから。
冷たい印象を持たれることも、少なくないんだろ。
他人に厳しくて、それ以上に自分に責任持ってる。
必死になるほど、それが裏目に出るのって辛いよな。

歪な野菜

「ヘッタクソだよなぁお前、野菜切んの」

まな板の上には、切りかけのキュウリが乗っている。
それらは透けるほど薄かったり妙に厚かったり。
斜めに切られているものもあれば、そうでないものも。
もとは一本のキュウリだったとは、とてもじゃないが思えない。

約束なしの待ち合わせ

会いたい。
なんて、口が裂けても言いたくない。
そんなの柄じゃないし恥ずかしいし、何より断られるのが嫌だ。
たとえ単に相手に先約があったりとか
体調が悪かったりとか、そういう仕方ない理由でだとしても。
俺自身を断られているわけではない、と分かってはいても。
なんでこんなに臆病になってしまうんだろう。
ただの１秒だって、一方通行な想いはしたくない。